ハムストリングス肉離れ

プロトコル

第1期

第1期は急性期(受傷後3~5日)から日常生活の痛みがなくなるまで。歩行が可能となるまでとする。

(応急処置)他の外傷と同様だが、ハムストリングスの肉離れの場合には、患肢の安静挙上位には注意が必要

枕やクッションを用いてハムストリングスの緊張をとる

RICEの説明

第2期

第2期は歩行動作が可能となり、患側の膝の自動運動ができる。ストレッチ感覚が出現するまでの期間。

負荷のない自動運動からスタート。徐々に運動範囲や抵抗量を上げていく。

(可動域訓練)ハムストリングスに過剰な伸長が加わりにくい自転車エルゴメーター

→抵抗量、回転速度、クランク長などを患部の状態に応じて漸増していく

静的ストレッチ

膝関節屈曲位でのハムストリングスストレッチ
膝関節伸展位でのハムストリングスストレッチ
ジャックナイフストレッチ(開始肢位)
ジャックナイフストレッチ(終了肢位)

(筋トレ)股関節伸展トレーニングは膝関節屈曲位であれば比較的早期から安全に行える

膝関節の屈曲角度、股関節の外転・回旋角度などのパターンを組み合わせて行う

ヒップエクステンション(開始肢位)
ヒップエクステンション(終了肢位)
チューブを用いたヒップエクステンション

例:ヒップエクステンション、チューブ

リスク管理→初期の等尺性収縮は患部に強い張力が加わるため推奨しない。

(歩行)水中運動 ジョギング(時間、距離などは患部の状態をみながら)

第3期

第3期ではストレッチが可能となったら、徐々に患部主体のトレーニングを加えていく。

筋力、持久力、協調性の回復を目標とし、負荷の増加にさまざなまトレーニング機器を利用して行う

肉離れの再発予防を極力防ぐことが大切。

患部を庇うことで生じる体幹部のバランス不良や股関節可動域の制限などの評価をしながら改善していく

(動的ストレッチ)動画

(筋トレ)

股関節伸展運動→ヒップリフト

ヒップリフト(開始肢位)
ヒップリフト(終了肢位)
つま先を上げることでハムストリングス優位になる
膝を伸ばすこと負荷が上がる
片足でのヒップリフト

膝関節屈曲運動→うつ伏せ、座位でのレッグカール→徒手抵抗、チューブ、重錘、マシンなどを利用

チューブを用いたレッグカール
重錘を用いたレッグカール

荷重トレ→患部の状況に応じてスクワット、ランジを開始

スクワット(正面)
スクワット(側面)
不良パターン① 膝が内に入る
不良パターン② 背中を丸める
不良パターン③ 腰が反る
フォワードランジ(正面)
フォワードランジ(側面)
不良パターン①
上半身が前に倒れる
不良パターン②
腰が反る
不良パターン③
膝が内に入る
不良パターン④
膝が外に逃げる

デッドリフトなどで筋の遠心性収縮力の向上も図る

→早期に行うと再受傷の可能性があるため不快感を参考に徐々に行う

リスク管理

スポーツ復帰

(目安)ストレッチ痛、圧痛、徒手抵抗痛がない

敏捷性や持久力に十分な回復が得られていることを確認

(例)バウンディング、ハードルジャンプ

(再発予防)

早期に負荷をかけると再発することが考えられるため、損傷時の重症度を正確に把握する

受傷起点を明らかにして、それへの対策